あじさい通り

日記的ななにか

春の日の思い出

春が近づくとつい過去のことを振り返ってしまう。

一人暮らしを始めてそろそろ3年が経つ。

引っ越した当初はまだ18歳の誕生日も迎えておらず、17歳という年齢で親元を離れて暮らすことの不安を感じていたような気がする。

引っ越しの日は季節外れに寒くなり、軽装で来ていた僕をみかねて叔母がマフラーを渡してくれたことをよく覚えている。そのマフラーは貰ったままでいいのかいまいちはっきりしないまま今日まで僕の手元にある。

その日の夜はまだ家具もろくにない部屋の中で段ボールを下敷きにしてコンビニ弁当を食べた。3年前のことだがそのときのこれからの生活への期待と心細さが両立した気持ちは今でも覚えている。

その期待とは裏腹に新型コロナウイルスの流行が始まり、自粛した生活を余儀なくされた。大学の授業も5月の中ごろまで始まらず日々の楽しみは「イエスタデイをうたって」と「波よ聞いてくれ」を観ることくらいしかなくなっていた。

ゴールデンウィーク明けくらいからようやく大学が始まったものの、授業は全てオンラインで同級生との交流も碌にできぬままただ月日が流れていった。当然オンライン下でも友人ができていた者もいたが自分にそんな能力もなくSNSの投稿を指をくわえて見ていただけだった。

それから、後期からは少しずつ大学に通うことも増えて、部活に入りバイトもはじめ友人も僅かながらできて楽しい思い出が少しと苦しかった思い出が沢山できた。

四畳半で書かれていたようにこの路以外の道に進む可能性なんてなかったような気がする。

この3年間の過ちや後悔は数えきれないが、今日の2月19日の季節外れの春の陽気に当てられると、よくここまで来たもんだとこれまでの過ちや後悔も全て肯定したい気持ちになる。また、17歳の終わりで抱いたこれからの生活への期待を今年も抱かずにはいられない。

またしばらく寒い日が続くらしいが本当に春になったら少し遠出でもしてみたい。

(そういえば書いている途中で思い出したが引っ越した翌日は18歳の誕生日だった。マフラーは誕生日プレゼントとしてもらっておこう)